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オーストラリアにおけるサルモネラ生ワクチン
「オーストラリアにおけるサルモネラ生ワクチンの使用・制度および野外実験等の成績報告」
王立メルボルン工科大学ピーターコール教授 (Dr.Peter Coloe)
1999.11.04 NBI国際シンポジウムにて
私の研究の主な目的は、サルモネラワクチンを開発して、食品の安全性を高めることです。鶏肉がサルモネラ食中毒の一つの原因ですが、その他の動物もサルモネラ食中毒の原因となりますが今日は鶏のワクチンに限ってお話いたします。どうしてサルモネラでは生ワクチンが不活化ワクチンより有効に働くかということをご説明いたします。
これは科学的な背景があります。サルモネラ菌の病原性に関わる因子の一つは生体側の反応があります。サルモネラ菌が病原性を発揮するためにはまず鶏の体内に侵入しなくてはなりません。そして鶏がサルモネラに対してどういう応答をするかです。
左の写真は電顕写真です。この上の黒い点がサルモネラで、どのように腸管内に侵入していくか、その過程を写真に撮ったものです。ついにはサルモネラが鶏の体内に侵入します。
【侵入】の機序
細菌の腸管上皮への侵入過程は
1.微絨毛の形が変化し始める(長くなり、膨れ、そして発芽する)
→細胞膜が粗造になる。
2.細胞質の頂点が細菌に近づき、外側へアメーバ状に膨らみはじめる。
3.細菌が膜で囲まれた小胞として細胞質内に入る
実験室内で培養した場合は一番右の写真のようになっていて、表面抗原はあまり発現していません。それが腸管内で増えた場合は真ん中の写真のように表面抗原が発現し、腸管内に侵入できる機能を持っています。そのような侵入に必要な抗原というのは、それが必要なときだけ発現される抗原です。
病原体は細胞の中に入り、生存していくためには、侵入した細菌を殺す仕組から逃れなくてはなりません。細菌が増殖に必要な栄養素を得る必要があります。これから説明するSTM1というワクチン株は、遺伝子操作をして増殖に必要な栄養素を得られないようにしたものです。 サルモネラ菌が細胞内に入ると... ・宿主の殺菌作用から逃れる・宿主から栄養を得る サルモネラが細胞内に入った後に2つのグループを産生します。一つは静止期、つまり増殖を行なわない群、もうひとつは活発に増殖を行なう群になります。ワクチン株は活発に増殖するグループをなくしたものです。 サルモネラ菌の細胞内での2つの時期 ・静止期・活発な増殖期
どうしてサルモネラワクチンが家畜に必要なのかを説明いたします。3つの理由があって、一つは雛を感染から防御する、言いかえれば雛の損失を防ぐということです。2つ目は製品の安全性を確保するということ。そして、人が感染するのを防ぐということです。
これから説明するサルモネラ菌は、遺伝学操作によってaroAとserCの遺伝子を取り去ったもの非病原性サルモネラ菌で、そのため鶏の体内では増殖できないという特徴を持った株です。非常に大きなサイズのDNAを取り去ったものです。
サルモネラワクチンはaroAおよびserCの
欠損非病原性株から作られ、
その欠損により鶏体内で
増殖できないという特徴を持つ
この株は硫化水素を産生しないという以外、野外サルモネラ株の主な特徴のほとんどを持っています。しかしながら生化学的特徴はシトロバクター属により近い特徴を持っています。欠損させている遺伝子はここに示したような重要な生化学的反応経路に関与するものです。
このワクチンの有効性を評価する試験を実験室内でいくつか行いました。ワクチン接種群と無接種群を攻撃して有効性を調べています。攻撃した株は、このワクチン株の親株です。この親株は非常に病原性が強くて、100個以下の接種菌数で弱齢雛の50%を殺すことができます。この試験では攻撃後ワクチン未接種群では斃死率が100%であったのに対し、ワクチン接種群では攻撃後の斃死は全く認められませんでした。
サルモネラ生ワクチンの鶏での試験
STM1ワクチン接種後の強毒サルモネラ・ティフィムリウム攻撃に
対する防御効果
群 ワクチン 斃死
1 接種 0/10
2 非接種 10/10
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